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ハイパーサーミアとは

 悪性腫瘍に対する温熱療法のことを特にハイパーサーミアと呼びます。悪性腫瘍細胞細胞が正常細胞に比べると熱に弱い性質を利用した治療法で腫瘍部分を42〜43度に温めて、悪性腫瘍細胞を死滅させます。また、加温により正常な周辺組織の免疫機能が活性化させる作用があり、免疫力が向上します。


サーモトロン-RF8-(山本ビニター製)
 寝台に寝ていただき、目的部位を上下の電極ではさんで、電極間にRF(高周波)を負荷して加温を行います。


治療対象

脳、眼球以外の悪性腫瘍が適応
浅在性悪性腫瘍:皮膚、頭頸部、軟部組織、乳房等の表在性悪性腫瘍
深在性悪性腫瘍:肺、食道、胃、肝、膵、子宮、膀胱、腎臓、直腸、前立腺等の深在性悪性腫瘍


治療実績

治療法 平成16年度 平成17年度 平成18年度
ハイパーサーミア(温熱療法) 2097 1999 2714


ハイパーサーミア(温熱療法)を開始するに当たって

 癌の治療には、手術、放射線治療、化学療法(抗癌剤)が三本柱として定着しており、癌の部位や進行度に応じてこれらが使い分けられています。癌細胞が熱により死滅することは、古くから知られていましたが、熱により癌を治療するハイパーサーミア(温熱治療)は、1980年代以降臨床応用されるようになりました
 日本でも、1980年代より盛んに臨床研究が進み、全国の主要大学の放射線科において、放射線治療との併用で効果が確認されてきました。当初より、難治性の腫瘍を対象に治療が開始されてきました。ハイパーサーミアなしではとても治癒できなかったような例も数多く確認されましたが、進行した癌を対象にしてきたため、思ったほどの治癒率が達成できなかったのも現実です。
 一方、化学療法とハイパーサーミアの併用に関しての臨床研究は、まだ十分な段階ではありません。基礎実験レベルでは、放射線とハイパーサーミアの併用と変わらないレベルの効果が確認されています。この背景には、ハイパーサーミアの装置が、主に放射線科に導入されているために、主に化学療法を施行する内科・外科の先生方にハイパーサーミアを利用するという認識がないためと思われます。
 化学療法とハイパーサーミアの併用治療を開始できましたことは、我々の長年の願望がかなうとともに、化学療法を受けている患者様方にとっても福音ではないかと考えています。


ハイパーサーミア(温熱療法)の手順

 基本的に、週1回のハイパーサーミア(温熱治療)を行います。
 ハイパーサーミア開始と同時に、化学療法薬剤の点滴を開始します。肝臓癌など動脈から直接薬剤を投入される場合は、その後の治療となります。
 ハイパーサーミアの時間は、患者様の体力に応じて、40〜60分です。
 ハイパーサーミア終了後に、高気圧酸素治療が有効と思われる方は、施行させていただいています。これにかかる時間は1時間30分程度です。
 従って、1回の治療時間は、前準備を含めて4時間程度を要することになります。


副作用

 熱感や皮膚のぴりぴり感が主なもので、副作用はほとんどありません。


併用療法で治療効果アップ

 放射線・抗癌剤と併用するとことで、治療効果が著しく向上することが期待できます。それにより、抗癌剤の使用量を減らして副作用が少ない治療を、長期にわたり行うことが可能になります。


ハイパーサーミア(温熱療法)と化学療法(抗癌剤)の併用

 化学療法で癌の大きさが半分以下になる可能性は、癌の種類と薬の組み合わせにより様々です。我々が、主に治療させていただく予定の癌の種類は、頭頚部癌、肺癌、食道癌、乳癌、胃癌、肝臓癌、胆嚢・胆管癌、膵臓癌、大腸・直腸癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮癌などをです。これらの癌における化学療法の効果は、20%からよくても50%程度であり、もう一段の効果増強が望まれます。
 化学療法の効果を上げるためには、なるべく多くの薬剤を使用し、2〜3種類の薬剤の組み合わせで行う方法がとられます。この方法で、副作用が少ない方は、よい治療効果が得られることが多いのですが、中には致死的な副作用が出現することも少なくありません。
 我々は、化学療法の量を増やしたり、使用種類を増やす前に、薬自体をより有効に癌細胞に作用させる治療としてのハイパーサーミアに着眼しています。実験レベルでは、癌細胞への薬剤の取り込みは、ハイパーサーミアにより5〜7倍程度まで増加することが確認できています。
 ハイパーサーミアを併用することで、副作用が出ない量の化学療法を長期にわたって使用することが可能になります。これは、最近注目されている癌の休眠治療につながるものです。すなわち、一気に癌細胞を殺そうとするのではなく、生体に害の少ない範囲での治療を長く継続していくものです。
 また、ハイパーサーミアを行うことで、生体の免疫能力が増強されることが知られています。化学療法は、一般的に免疫能力を低下させますので、ハイパーサーミアの併用により、人体に優しい癌治療を行うかとが可能になるわけです。
 我々が、戸畑診療所で、化学療法の増感として、ハイパーサーミア以外に期待するものが、高気圧酸素治療です。ハイパーサーミアは、加温した腫瘍の薬剤の効果を高めてくれますが、加温部位以外の場所に転移があった場合は、転移に対する治療が不十分なものになります。我々は、ハイパーサーミアの直後に、高気圧酸素治療を併用することで、化学療法の効果を全身に行き渡らせるように配慮しています。


ハイパーサーミア(温熱療法)を希望される方へ

予約診療が原則です。

治療の適応を決定するため、当日CTまたはMRIの画像を撮影させていただくこともあります。

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