臨床工学科について

 臨床工学技士は、安全安心な医療提供が出来るよう、医師の指示のもと、医療機器の保守管理・操作を行う職種です。当院における業務内容は急性期医療からがん治療と多岐に渡っています。

臨床工学科のミッションは、『医療安全の向上・チーム医療の実践・専門性の追求・効率的な機器運用』です。そのために、フットワーク・チームワーク・ネットワークをスローガンにチーム医療に貢献できる医療機器のスペシャリストを目指しています。これからも、患者様や院内スタッフから信頼される部署として努力していきます。

臨床工学科の組織体制について

 臨床工学科には総勢22名の技士が在籍しています。
業務内容は高気圧酸素治療、温熱治療(ハイパーサーミア)、医療機器管理(人工呼吸器管理・急性血液浄化含む)、内視鏡、手術室、人工透析と多岐に渡っており、部門毎に責任者を配置し、組織横断的な業務展開を実践しています。
当科はそれぞれで専門性を追求するために長期 ローテーション制を導入しています。また、積極的な資格・認定取得、および学会発表・研究などの学術研鑽を奨励しており、幅広くチーム医療に貢献できる人材育成を目指しています。

平成29年7月 現在

各業務内容

ハイパーサーミア


ハイパーサーミアは平成15年より治療を開始し、年間約2500件の治療を行っています。業務内容は機器の操作を中心に、各症例の加温出力の調整や熱感時の対応、加温シミュレーション、抗癌剤副作用の観察、治療時の患者さんとのコミュニケーション、機器メンテナンスなど、一連の治療において従事しています。

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内視鏡


主な業務内容として、検査中での機器操作、内視鏡スコープの使用前後点検、定期点検、洗浄消毒業務、トラブル対応などを行い患者さんに安全安心な内視鏡検査治療を提供しています。
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高気圧酸素治療


高気圧酸素治療は、平成10年より治療が開始され、治療件数も年々増加しています。医師と連携し、急性期治療やがん治療に対し、積極的に治療を行っています。
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医療機器管理


医療機器の中央管理と毎日のラウンド業務を実施することで、医療機器の品質と維持管理、安全性の向上に努めています。新人研修や部署別に勉強会を開催しており、専門知識と技術向上に常に努め、医療機器の安全情報の収集と提供を行っています。

手術室


手術室業務は平成14年より開始し、計105台の医療機器や設備の保守管理、トラブル対応、清潔補助業務、中央材料室業務と幅広く行っています。他職種と協働業務を行い、チームとして連携を図っています。
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人工透析


主な業務として、透析治療時における穿刺・接続から回収までの操作等を行っており、機器管理においては透析関連機器の点検から消耗部品の交換などを行なっています。
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血液浄化


急性血液浄化療法として、持続的血液浄化療法を行っています。他にもエンドトキシン吸着、血球成分除去療法、胸水、腹水濾過濃縮再静注法も行っており、24時間体制で対応を行っています。

 

臨床工学科の教育について

当科は2015年4月より「バディシステム」を導入しました。
CE2名がバディを組み、対等な立場で、互いの特性や能力を活かしながら、問題や知識・情報を共有し、業務補完し合う制度です。当科では、平成27年度を導入期、平成28年度を拡充期、平成29年度を定着期として開始しており、今後も質の高い教育を構築していきたいと思います。

◎バディシステムの概要

バディの立場は対等
バディの組み合わせは上司が決定し、経験年数に関係なく互いを尊重し、
報告・連絡・相談ができる関係を構築する。

バディミーティングの実施
毎朝、業務の報告及び業務上の相談、意見交換のためのミーティングを実施する。

行動イメージは7:3
個人行動を7割、バディの行動を3割とし、業務を共有化することで、業務の抱え込みを防止する。

組織的な介入は必須
月に一度科内にて、バディシステムの目標、課題などの協議を行い組織全体で共有化する。

 

◎メリット

・バディの技術や知識を学び、業務をよりスムーズに効率よく行える。
・精神的な不安、負担がなくなり活発的な業務が遂行可能となる。
・バディの日々の業務を補完することで、業務の質を維持、管理することが可能となり、スタッフや部署にとって様々な環境改善が図れる。

◎効果

・スタッフの超過勤務時間を減少させることが出来る。
・個人での業務抱え込みの防止に繋がり未完了案件の減少に繋がる。
・部署の方針や目的意識をスタッフ全体に浸透させることが出来る。
・新人教育に応用することできめ細かい教育が可能となる。

今後もバディシステムを利用した質の高い教育を目指していきたいと思います。

臨床工学科主体のチーム医療について

当科はチーム医療に貢献できる組織作りを目指しています。その中で、特に医療安全活動に力を入れており、院内で4部門(RRT、RST、MACT、教育WG)にチームリーダーを配置し活動を行っています。

■RRT:院内救急対応チーム

Rapid Response System(RRS)とは、救急対応システムを構築するために、患者が心停止・呼吸停止のような重篤な病態に陥ることを予見すること、迅速な対応の起動、患者病態の正確な評価・処置の施行などの体制を維持・発展させていくシステムです。Rapid Response Team(RRT)は、米国などでは、予期せぬ心肺停止を予防する目的で、心肺停止にいたる前に早期に介入を行う医療チームとなります。
当院では、看護師や理学療法士を中心としたチームで構成されており、酸素投与や気管吸引など基本的な処置を行いつつ、集中治療室への入室の必要性などに関して評価を行っています。また、一次救命処置講習会やICLS講習会を定期開催し、院内の急変時対応の質の向上に努めています。

 ◎活動内容
・一次救命処置講習会の定期開催
・ICLS講習会の定期開催
・院内認定BLSインストラクターの育成
・RRTシミュレーションの定期開催
・ハリーコール事例検討

■RST:呼吸サポートチーム

院内の人工呼吸及び酸素療法の安全と質の向上を目的に、医療安全委員会の管轄の下、多職種で呼吸療法の支援を行っています。Resperatory Support Team(RST)は、人工呼吸器を装着している患者が早期に人工呼吸器を外せるように、また呼吸ケアの質の向上のために医療スタッフをサポートするチームです。
活動を安全サポート、診療サポート、教育活動に区分し、医師、看護師、理学療法士とともに多職種アプローチを実践しています。

 ◎活動内容
・安全サポート(酸素療法患者対象)
・診療サポート(人工呼吸器装着患者対象)
・院内誌RST TIMESの定期発行
・佐藤塾の定期開催
・人工呼吸器ハンズオンセミナーの定期開催

■MACT:モニタアラームコントロールチーム

Monitor Alarm Control Team(MACT)は、モニタアラームに対して組織で適切に対処し事故防止に繋げていくチームです。
当院は「適切なモニタアラーム対応を目的とした、アラームに対する意識向上のための仕組み」であるMACS(Monitor Alarm Control System)を掲げ、日々啓蒙活動を行っています。当院のMACTは、院内病棟のモニタアラームに対して適切に対処し、事故防止を牽引していく医療チームであり、MACSを構築するために日々活動を行っています。
モニタアラームには、センサ外れ、設定不備などによるテクニカルな要因を含むアラームが大半を占めています。これらが増加することにより重大なアラームを放置し、患者の死亡事故に繋がる事例が多数発生している現状があります。このため、組織で対処していくことで事故防止につなげていくチーム活動が国内外で必要とされており、当院では2009年よりCEにて活動を開始し、2014年に医療安全管理委員会の下部組織となりました。

 ◎活動内容
・月に1回病棟の病棟ラウンド
・各病棟に対するミニレクチャーの開催
・MACTリンクスタッフミーティング開催
・日常点検表の提出
・使用者に対する教育
・電子カルテへの記載確認
・学術研鑽
・MACTレポートの定期発行

教育ワーキングチーム

 医療現場で使用される医療機器は日々複雑化しています。安全に医療機器を使用してもらうために、医療安全管理委員会の組織として研修会の企画運営を行っています。臨床工学技士以外の医療従事者に対して医療機器の動作原理や操作方法、トラブル対応方法などの講習会を行っています。

人工呼吸器などの生命維持管理装置においては、RSTと共同して個別に少数にて講習会を開催し安全使用に対する啓蒙活動を行っています。

講習会開催以外にも医療機器に関する動画を作成し、院内ネットワークを利用したe-Learning化を図っています。いつでも医療機器の知識を振り返ることが可能な状態にしており、院内での受講率も100%を実現しています。

取得資格・認定

認定学会  認定名称 取得人数
日本高気圧環境・潜水医学会 高気圧酸素治療専門技師 3名
日本臨床高気圧酸素・潜水医学会 臨床高気圧酸素治療装置操作技師 7名
日本ハイパーサーミア学会 ハイパーサーミア認定技師 2名
日本ハイパーサーミア学会 ハイパーサーミア認定教育者 1名
日本ハイパーサーミア学会 ハイパーサーミア指導教育者 1名
3学会合同呼吸療法認定士認定委員会 3学会合同呼吸療法認定士 7名
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡技師 4名
透析療法合同専門委員会 透析技術認定士 2名
日本医療機器学会 医療機器情報コミュニケータ 3名
日本医療機器学会 第1種滅菌技師 1名
日本医療機器学会 第2種滅菌技師 2名
平成29年6月現在

○各業務実績

高気圧酸素治療 疾患内訳

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
イレウス 395 429 334 257 445
急性末梢血管障害 688 711 1003 1360 884
急性脊髄障害 139 139 174 157 201
コンパートメント症候群 58 25 20 30 106
ガス壊疽/壊死性筋膜炎 83 21 26 15 92
脳塞栓 393 474 378 419 378
急性一酸化炭素中毒 8 9 7 18 14
骨髄炎 204 201 117 84 139
がん治療 2774 2938 2473 2188 2849
その他 72 138 108 149 448
合計 4814 5085 4640 4677 5596
平成29年6月現在

 

ハイパーサーミア 治療件数

    2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
浅在部 頭頸部(咽頭、頸部、頭部LN、顎、頭部) 155 110 165 191 274
乳がん 10 11 80 124 135
その他(上腕、鎖骨上窩、腋窩LN、肋骨) 33 48 103 65 48
深在部 胸部(肺、縦隔、食道) 850 1002 960 758 629
腹部(肝臓、胆のう、膵臓、腹部LN、腹壁、胃) 958 1002 865 1102 1138
骨盤(仙骨、直腸、肛門部、子宮、膀胱、前立腺) 275 345 298 344 247
その他(大腿部、鼠径LN) 38 9 6 6 8
合計 2319 2527 2477 2590 2479
平成29年6月現在

 

消化器内視鏡 手技別内訳

  2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
上部消化管内視鏡 総計 3013 2936 2911 2960 3202
下部消化管内視鏡 総計 1566 1698 1789 2009 1876
小腸内視鏡 総計 53 85 68 91 70
合計 4632 4719 4768 5060 5148
内訳 内視鏡的狭窄部拡張術 63 58 45 63 63
内視鏡的胃・食道静脈瘤治療(EVL・EIS) 24 13 21 9 12
粘膜下層剥離術(ESD) 123 111 131 137 156
内視鏡的消化管止血術 149 146 167 160 144
胃ろう造設術 32 46 37 26 21
粘膜切除術(EMR・ポリペクトミー) 342 392 434 552 631
胆管・膵管系内視鏡(ERCP・EST・ERBD等) 155 134 148 163 159
小腸ダブルバルーン内視鏡 55 62 38 50 54
カプセル内視鏡 15 23 17 29 16
内視鏡的消化管ステント留置術 3 1 15 15 19
内視鏡的消化管異物除去 14 17 12 18 3
その他 54 55 84 82 69
平成29年6月現在

 

血液浄化療法 手技別内訳

  2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
腹水濾過濃縮再静注法 59 56 70 69 75
持続緩除式血液浄化術 69 27 27 86 77
白血球除去療法 56 70 35 90 95
血漿交換療法 7 1 0 0 0
吸着式血液浄化術 5 6 1 1 4
人工腎臓 6431 6488 6747 6574 7134
PTA(経皮的血管拡張術) 5 15
合計 6627 6648 6880 6825 7400
平成29年6月現在

○学会発表実績

臨床工学科では、多くの学会に積極的に参加し、最先端の知識や情報を常に取り入れるよう心がけています。また、学術研究にも積極的に取り組んでおり、より質の高い医療技術の習得、医療の提供を目指しています。

主な学会発表実績

平成28年度 臨床工学科学会発表一覧表

日付 発表内容
15.4.22-24 ●第18回日本医療マネジメント学会
・MACSの有効性及び導入要点と今後の展望
・臨床工学技士の業務改善にバディシステムを導入して~第一報~
16.5.13-14 ●第26回日本臨床工学会
・WS:ハイパーサーミアにおける臨床工学技士の現状と課題
・WS:ハイパーサーミアの標準化に向けて
・3Dプリンタによる手術支援と臨床工学技士の関わり
16.6.18-19 ●第24回福岡県臨床工学会
・シンポジウム:MACSとMACT
・ハイパーサーミアにおける保守管理業務の現状と今後の課題
16.6.23-25 ●第91回日本医療機器学会
・実物大臓器立体モデルの手術支援に対する臨床工学技士の役割
16.6.25 ●第69回九州消化器内視鏡技師研究会
・Cold Snare Polypectomyに使用するスネアの検討
16.7.2 ●第4回北九州リサーチミーティング
・高気圧酸素治療における感染管理について
・内視鏡スコープにおける光量点検方法の確立
16.7.30 ●第29回九州山口ハイパーサーミア学会
・温熱化学放射線治療が奏功した直腸癌術後骨盤・鼠径リンパ節転移の一例
・温熱化学放射線療法でQOL改善が得られた乳癌多臓器転移の一例
16.8.6 ●社会医療法人共愛会 第12回KAIZEN研究発表会
・モニタアラームの適正使用について ~モデル病棟の設置とアラーム対応の意識変化~
16.9.2-3 ●第33回日本ハイパーサーミア学会
・ユーザーズミーティング:ハイパーサーミアにおける保守管理業務の現状と今後の課題
・温熱化学放射線治療が奏功した直腸癌術後骨盤・鼠径リンパ節転移の一例
・温熱化学放射線療法でQOL改善が得られた乳癌多臓器転移の一例
16.12.3-4 ●第51回日本高気圧酸素環境潜水医学会
・第1種高気圧酸素治療装置における感染管理
17.3.9-11 ●第44回日本集中治療医学会
・当院のRST,RRT活動の現状と課題(第一報)