2024年春を迎えて

今年も桜の季節を迎えようとしています。
今年は元日より令和6年能登半島地震に見舞われ、大変な年明けとなりました。
いまだ水道も復旧していないところもあり、能登の皆様のご苦労は如何ばかりかと心からお見舞い申し上げます。
2020年初めに起きた新型コロナウイルス感染症は流行と収束を繰り返し、ようやく昨年5月からインフルエンザと同じ5類に分類されるようになり、マスク着用は任意となり、濃厚接触者の外出制限もなくなりました。これに伴い、外出、旅行、交通機関の利用など人々の動きも活発となってきました。当施設では、昨年9月と年末にクラスター発生に見舞われました。全国的に見ても発生数は徐々に低下していますが、高齢者施設では感染しやすく、重症化しやすい方が多いので、今後も周りの状況を見ながら皆さんのご要望に沿って、コロナ前の状態にできるだけ近づけるよう努力してまいります。
自然災害や感染症の流行などは、発生の予測が困難です。どんな状況に置かれても、施設ができるだけ早く復旧し正常に稼働し続けられるよう、それぞれの場合に応じて前もって計画しておく、“BCP”(事業継続計画)を昨年度中にほぼ策定しました。これは今後様々な体験を通して、改善していきます。
当施設は平成8年に開設し、今年で28年目を迎えようとしています。長い年月の中でご利用者の平均年齢は上昇し、現在約90歳となっています。当初は歩行自立の方が大半でしたがその割合は逆転し、歩行器や車いすが必要な方が8割以上となっています。
また心不全、腎不全、肺機能不全、脳血管疾患などの基礎疾患を持ち、感染症に罹患しやすく、重症化、急変もしやすいため、救急外来へ搬送することも多くなっています。
入所時には、食べられなくなったら胃ろうまで造設するのか、心臓や呼吸が止まったら、心臓マッサージをするのか、人工呼吸器を使うのか、などその時点での一応の意向をうかがうことになっています。判断が難しい点もあると思います。またいつまでも元気でいてほしいという思いが強く、具体的なことまで考えられないという方もおられるでしょう。しかし、人生100歳時代を迎えようとしている現在、日ごろから“もしも”の時も含めて、どう過ごしたいか、何を大切にしたいかを、ご本人と家族で話し合っておくことはとても大事なことです。これを、アドバンス・ケア・プラニング(ACP)「人生会議」といいます。
今年も引き続き、ご本人ご家族が納得できるより良い生き方のため、努力を惜しまず、スタッフ一同頑張ってまいりたいと思います。

あやめの里 施設長 下河辺 勝世