当院の救急医療について

9月9日の救急の日に合わせて、救急医療について少しお話をしたいと思います。

『救急医療は医の原点である』とよく言われます。
誰の言葉かは知らないのですが、大手情報サイトにも載っているぐらいですから広く受け入れられているのでしょう。高熱にうなされたり、息苦しかったり、痛かったりすれば、人々が医療を求めたのは容易に推測がつきます。しかもこれらは突然にやってくるのです。これが医の原点といわれる理由でしょうか。いや、そんなことはないといわれる方も多いでしょう。

痛みは3日前からだんだんひどくなってきたとか、1週間前からなんか息苦しいとか、よくあります。そして救急外来を受診されるのです。「よくなると思って我慢してきたがよくならない、ひどくなってきた、これは急いで病院に行かなくては」となっているわけです。夜間救急外来を受診して、『こんな事ぐらいで受診したの?」と口に出さずともそんな顔をされることもあると思いますし、逆に『何でこんなになるまでほっといたの、命が危ないよ」とか言われることもあるでしょう。

でもしょうがないんです、やっぱり病気は突然やってくる(病院は突然必要になる)ことが多いのです。
我慢しすぎるぐらいなら、心配性の方がいいのではないでしょうか。

さて当院の救急外来には多くの腹痛の患者さんが来られます。おなかが痛くて受診された方は、やはり胃や腸の病気である事が多いです。それ以外のことももちろんあるのですが、やはり消化器疾患が多いと思います。

日本は世界に名だたるCT王国でありまして、すぐにCTがとれる状況にあります。しかもその性能の進歩は著しいものがあり、造影CTにでもなれば、2mmの血管が詰まったとか、裂けたとか、これが痛みの原因と思われますとか、30年前では考えられなかったような診断能力を誇り非常に有用な検査です。

そして腹痛に対するもう一つの我々の武器が内視鏡です。いわゆる、かつては(いまでも)胃カメラと呼ばれていたものですが、診断器具から、治療器具へと変化してきました。早期癌に対する内視鏡手術はもとより、ここ救急の現場でも大活躍をしています。出血を止めたり、異物を取ったり、更には腸のねじれを取ったりすることすらあります。これらの手技は時期を逃さず行うことにより、大きな合併症や手術を回避したりできるのです。これは何も腹痛のみに限ったことではありません、頭痛でも胸痛でも同様です。

救急医療の大原則は時期を逃さず、的確な診断と治療を行うことにあります。そのためにはまずは受診することです。何でもかんでもすぐに救急外来に、という事ではありませんが、我慢しすぎはもっとよくないということです。ひどくなる前に、できれば昼間のうちに受診されることをお勧めします。

戸畑共立病院 副院長
救急総合診療部長 佐藤英博


24時間、患者に寄り添うまごころの医療提供

戸畑共立病院は戸畑区を拠点に「救急医療」「がん治療」「地域医療支援病院」を大きな柱とし、様々な取り組みを行っております。
その中でも私たち救急センターは、「救急医療を担う病院」として地域貢献に尽力しています。
また、救急告示病院であり地域医療機関をはじめ、介護福祉施設と連携を強化して 24 時間体制で救急担当医を筆頭に看護師・救急救命士・コメディカルスタッフが一丸となって救急医療の充実を図っています。

救急センターを受診される患者様の症状は一様ではありません。特に、高齢者は自覚症状に関する訴えの情報と内容が乏しく、より緊急性の高い症例が見られます。
「いつもと違う、何か変だな」という気付きを気づくことが、急変を未然に防ぐ第一歩となります。みなさまが、安全で安心した生活が一日でも長く送られるように、救急受診するべきか悩んだり、迷ったりした場合はいつでもご連絡ください。

戸畑共立病院
救急センター師長 髙木佳代


この記事の著者