生活習慣病とは、一言で言えば「健康的とは言えない生活習慣が関係する病気」のことです。
健康を保つためには食生活に注意し、適度な運動や睡眠をとり、ストレスを上手に解消することが理想です。
言い換えれば、これらがうまくいかないことによって起こりやすくなる病気が、生活習慣病です。
具体的には肥満・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)・高尿酸血症(痛風など)・脂肪肝・心筋梗塞・脳卒中・COPD(肺気腫・慢性気管支炎など)、アルコール性肝炎、歯周病などが挙げられます。
また、喫煙などの習慣によって多くのがんのリスクが上がることが分かっていることから、がんも生活習慣病の一種とされています。

生活習慣病が問題となるのは、それぞれの病気が合わせ技となって、命にかかわる事態を引き起こすおそれがあるからです。
仮に、一命を取り留めても後遺症が残ってしまうケースが多々あります。
人間、いつかは寿命が来るものですが、予期しない場面での不本意な最期や、あるいは後遺症による不自由な生活を、自ら進んで希望する人はまずいないのではないでしょうか。
「自分らしい人生を、できるだけ自分らしく送るため」にも、生活習慣病には注意を払うのが得策と言えます。

生活習慣病予防のためにできること

「健康的とは言えない生活習慣が関係する病気」を予防するためには、その逆を行けば良い訳ですが、「習慣」として長年続けてきたことを変えるのは、誰しも簡単ではありません。
特に日々の食事は、傍から見れば「量が多すぎ」「脂っこい」「味が濃そう(塩分多そう)」などと感じられても、自分では気づいていないケースが多いようです。
「食生活には問題を感じない、でも生活習慣病に注意するよう医師から言われた」という方は、信頼できる周囲の人に自分の食事を見てもらうのも手かもしれませんね。
また最近は、大手レストランやコンビニのメニューに栄養成分表示が書かれていますので、それも参考になるでしょう。

運動は「いきなり長時間は大変」という方も多いことと思います。
続けることが一番重要ですので、できることから無理なく始めることをお勧めいたします。
瞬発的に強く体を動かす無酸素運動よりも、ウォーキング・ジョギング・ヨガなどの有酸素運動の方が、生活習慣病予防には効果的です。
なお、一時期「有酸素運動は20分以上続けないと脂肪が燃焼しない」と言われていましたが、実際には細切れの時間でも脂肪は燃焼します。短時間でも良いのでこまめに行うことが大切です。

睡眠不足やストレス・喫煙は血圧上昇の原因となります。
たばこを吸っておられる方は、がんの予防もかねて禁煙をご検討ください。
睡眠時間も昔は8時間が理想とされていましたが、今の時代は、体調や健診結果に問題がなければ8時間寝なくても良いとされています。
ただし仕事・家事の最中に眠気を感じる方や、血圧が高めと言われた方は、睡眠時間を増やす工夫をしていただければと存じます。

定期的な健診の大切さについて

生活習慣病は「それぞれの病気が合わせ技となって、命にかかわる事態を引き起こすおそれがある」と書きましたが、命にかかわる前にあらかじめ症状が出るとは限りません。
例えば高血圧の場合、人によっては「頭痛がする」「脈打つような耳鳴りがする」といった症状が出ることもありますが、ある日突然脳卒中を起こし、それが初めての自覚症状だったというケースも少なくないのです。
また糖尿病は重症になっても症状に乏しい方が結構おられ、ある日突然失明して、それが初めての自覚症状だったというケースさえ散見されます。
自分では必ずしも気づけないのが生活習慣病ですので、気づくためには、症状がなくても定期的に検査を受け続ける必要があります。
幸いこの国には、会社の「定期健康診断」や、国民健康保険、協会けんぽや健康保険組合などが行う「特定健診」といった制度があります。
いずれも生活習慣病の基本的な検査が盛り込まれており、40歳以上の方にとっては生活習慣病を早期に発見できるまたとないチャンスです。
ぜひ積極的に受けていただき、あなたの健康維持にお役立てください。

戸畑共立病院健診センター