患者様の病状や障害に応じたリハビリテーションプログラム

現在、入院早期からはじめるリハビリテーションが重要と言われています。
当院では各病棟に専従のリハビリテーションスタッフを配置し、各診療科の回診にも参加し様々な患者様の病態などを多職種で検討しています。主治医と相談しながら合併症の予防や日常生活動作の獲得・早期社会復帰に向けて入院後早期よりリハビリテーションを開始しています。
人工呼吸器装着中の患者様であっても、病状が安定した時点で多職種と協同し積極的に離床(起立・歩行訓練など)を実施しています。

主な対象
胸腹部外科術後・敗血症・呼吸器疾患(肺炎など)・脳卒中・心不全など

運動器疾患に対するリハビリテーション

運動器とは「骨・関節・筋肉・神経などの身体を動かす組織・器官」の総称です。運動器疾患に対するリハビリテーションとは、ケガや病気によって生じた機能障害(筋力低下、関節可動域制限、痛み、麻痺など)に対して運動療法や物理療法などを用いて身体機能を可能な限り改善することを目的とします。
当院では大腿骨近位部骨折、上腕骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折、圧迫骨折など高齢者の4大骨折、人工膝関節や骨切り術、スポーツ障害など幅広い疾患・年齢層の治療及び手術が行われています。近年、手術件数は年間1000件を超えており、我々は受傷後・手術後早期より機能改善や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを提供させて頂いています。術後当日、疾患によっては術前からリハビリを開始します。

主な対象
手足の骨折:大腿骨近位部骨折、上腕骨近位端骨折、橈骨遠位端骨折
変性疾患:変形性膝関節症
脊椎疾患:圧迫骨折、脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア
スポーツ障害:半月板損傷、靭帯損傷、腱板損傷

がんのリハビリテーション

がんになると、がんそのものによる痛みや食欲低下、息苦しさ、だるさなどによって活動量が低下し、最悪の場合は寝たきりになってしまうこともあります。また、手術や抗がん剤治療(化学療法)、放射線治療などを受けることにより合併症や副作用が生じることがあります。そのため、日常生活動作や精神面への影響も起こりやすくなります。
リハビリテーションは、これらの症状を少しでも予防・維持・改善させ、円滑に治療が行える目的で実施します。辛い治療で落ち込まれることもあると思います。できる限り本人・家族の方が希望される生活が送れるように、日常生活動作はもちろん、趣味の継続や社会復帰のための援助も行っています。

言語聴覚士によるリハビリテーション

当院のリハビリテーション科には、言語聴覚士が在籍しています。言語聴覚士は、脳の障がいによっておこる失語症・構音障害・音声障害などの言語障害、注意障害や記憶障害といった高次脳機能障害、加齢に伴ってみられる認知症や聴覚障害などの方々に対して言語聴覚療法を行います。
言語や聴覚障害以外にも、口や喉の障がいで摂食嚥下(えんげ)機能にも問題が起こることがあります。特に当院では、摂食嚥下(えんげ)機能に問題がある方への支援に力を入れています。言語聴覚士による摂食機能の評価のみでなく、医師・歯科医師による嚥下造影検査や嚥下内視鏡を行っています。安全に少しでも口から食べられることを患者様と一緒に考えていきます。
また、当院には日本言語聴覚士協会が認定する認定言語聴覚士が在籍しており、各種学会への演題発表、関連団体や地域の医療従事者向けの研修会開催、見学実習の受け入れなどを行っております。