回想法

1963年米国の精神科医ロバート・バトラーは老年期の回想を肯定的に再評価することを提唱し、老年期における回想を促進し、心理学的援助に応用したものが回想法です。 欧米ではすでに30年以上に渡り、めざましい展開を見せています。日本の高齢者施設でも回想法を用いたアクティビティーが行われているところが増えてきています。

■あやめの里でも頑張っています
療養棟4階で毎週1回、回想法を実施してます。

回想法の進め方として、個人での回想法・グループ回想法の2つに分かれますが、今私達が実施しているのは4~5名を対象としたグループ回想法です。 おやつの時間を利用し、お茶をすすりながら、約1時間をご利用者の方々と楽しみます。

日付確認・自己紹介から始まり、前回のおさらいを含めその日のテーマを説明し、さあ!スタートです。テーマによっては教材・写真・品物・歌などを利用することもあり、 一人一人の発表を促します。皆さん「そうそう…」とあいづちをうったり「あの頃は…」「私の故郷では…」「昔はね…」と共感しながら話が拡がっていきます。普段無口な方でも最初は、 はにかみながらも、いつの間にか自分が中心になって話をしていた、ということも。よくいう井戸端会議と言いますが、会話がはずんでくると段々と話がテーマから脱線してきます。 その時はスタッフが修復することが必要です(これがまた…難しい)。回想法終了時は次回の日付を確認。一緒に後片付けをし、スタッフはその日の評価をします。

グループ回想法では単に個人を語るのではなく時代を語る。つまり、経験した出来事や感情が再評価されることで、違う時代で新しい意味づけとして見直され、気持ちが楽になったり、感情の整理が行われることもあると思います。
私達スタッフはそういった微妙な心の変化や発語・表情の違いなどを視ていきます。

利用者への効果 スタッフへの効果
・情動機能の回復
・意欲の向上
・発語回数の増加
・表情 非言語的表現が豊かになる
・集中力が増す
・新しい環境への適応を促がす
・対人関係の進展
・高齢者への関心と敬意を持つ
・日常の接し方の意識の変化
・仕事の意欲向上
・ケアプラン充実

正直に申しますと私達スタッフもまだまだ未熟であり、効果のほどは、全てが合格点とはいきません。回想法を進めるにあたり、いかに私達自身がご利用者の人生に興味・関心を持って持続的にお話を伺うかにあります。
回想法では記憶を引き出す手助けとしてさまざまな方法が用いられますが、映画など娯楽を取り入れたものも検討しております。
今後も日々学習努力していきたいと考えておりますのでどうかよろしくお願いいたします。