社会医療法人 共愛会

広報誌『Tsunagaru』2020年春号

社会医療法人 共愛会広報誌 Tsunagaru 2020年春号

表紙(クリックで拡大)

健康経営優良法人2020「ホワイト500」

社会医療法人共愛会は、健康経営優良法人2020(大規模法人部門)「ホワイト500」に認定(2018から3年連続)されました。健康経営優良法人とは経済産業省が設計した制度で、従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に取り組んでいる優良な法人が認定されます。全国では、大規模法人部門認定数1481法人、うちトップ500法人が「ホワイト500」として認定されています。今後も、職員の健康保持・増進に積極的に取り組むことで、安心・安全の職場環境を実現し、ついては、それが法人の生産性と創造性の向上につながり、持続的な成長を通じて地域社会に貢献できると考えています。

病気のはなし

食道がん 胃がん 大腸がん
消化器のがん
戸畑共立病院 消化器病センターの宗 祐人(そう すけと)に聞きました

食道がん

食道は、のど<咽頭>と胃の間をつなぐ管状の臓器で、部位によって、頚部食道、胸部食道、腹部食道と呼ばれています。食道の壁は、内側から外側に向かって粘膜、粘膜下層、固有筋層、外膜に分かれています。食道がんは、食道の内面をおおっている粘膜の表面からできます。がんが食道の壁の粘膜内にとどまるがんを早期食道がん、粘膜下層までしか及んでないがんを表在食道がん、それより深い層まで及んでいるがんを進行食道がんと呼びます。食道がんは、初期には自覚症状が無い事がほとんどです。早期発見の機会としては、検診や人間ドックの際の、内視鏡検査やバリウム食道透視検査があります。がんが進行するにつれて、飲食時の胸の違和感、飲食物がつかえる感じ、体重減少、胸や背中の痛み、咳、声のかすれなどの症状が出ます。

胃がん

胃は袋状の器官で、みぞおちの裏のあたりにあります。胃の壁は、内側から、粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜(しょうまく)下層、漿膜と呼ばれる層になっています。胃がんは、胃の壁の内側をおおう粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞となり、無秩序にふえていくことにより発生します。がんが大きくなるにしたがい、徐々に粘膜下層、固有筋層、漿膜へと外側に深く進んでいきます。がんがより深く進むと、漿膜の外側まで達して、近くにある大腸や膵臓(すいぞう)にも広がっていきます。胃がんは早い段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても症状が無い場合があります。代表的な症状は、胃(みぞおち)の痛み・不快感・違和感・胸やけ・吐き気・食欲不振などです。また貧血や黒い便が発見のきっかけになる場合もあります。

大腸がん

大腸は、食べ物の最後の通り道です。小腸に続いて、右下腹部から始まり、おなかの中をぐるりと大きく時計回りに回って、肛門につながります。長さは1.5~2メートルほどの臓器で、結腸(盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸)と直腸に分けられます。大腸がんは、大腸(結腸・直腸・肛門)に発生するがんで、腺腫という良性のポリープががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。
大腸の粘膜に発生した大腸がんは次第に大腸の壁に深く侵入し、やがて大腸の壁の外まで広がりおなかの中に散らばったり、あるいは大腸の壁の中のリンパ節や血液の流れ乗って、リンパ液や肝臓、肺などの別の臓器に転移したりします。早期の段階では自覚症状がほとんどなく、進行すると症状が出ることが多くなります。症状としては、血便(便に血が混じる)、下血(腸からの出血により赤または赤黒い便が出る、便の表面に血液が付着する)、下痢と便秘の繰り返し、便が細い、便が残る感じ、おなかが張る、腹痛、貧血、体重減少などがあります。

食道がん、胃がん、大腸がんの早期治療につながる
戸畑共立病院消化器病センター
内視鏡治療
今までに1700件以上の治療を行った内視鏡室に診断と治療について聞きました。

消化管は口腔から始まり、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸を経て肛門に至るまで消化・吸収をつかさどる管腔臓器です。現在、消化管内視鏡検査では、上部消化管内視鏡検査として口から食道、胃、十二指腸、小腸を、下部消化管内視鏡検査として肛門から大腸、小腸を観察でき、全消化管を内視鏡で観察できるようになりました。直接消化管の内腔を観察できるので、がんが疑わしい病変は一部組織を採取して(生検)、がんか否かを病理医が顕微鏡を使って診断します。がんと診断された場合は、がんの深さや広がりを内視鏡精密検査(拡大内視鏡や超音波内視鏡検査など)に加え、消化管造影検査、CT、MRI、場合によってはPET検査などで調べます。転移がないと思われる早期のがんと判断されれば内視鏡を使って管腔内からがんを切除する内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が出来る訳です。胃がん、食道がん、大腸がんによって内視鏡治療の適応条件が多少違いますが、EMRやESDでがんを切除できれば、生活の質は治療前と全く変わりません。すなわち体に負担の掛からない治療と言えます。

また、ESDの手技では切除できる大きさに制限がないため、大きながんでも切除可能です。当院では、2019年12月までにESDで食道282病変、胃988病変、大腸544病変に施工し、良好な治療成績を得ています。
食道がん、胃がん、大腸がんで内視鏡治療できる病変は、転移のない早期のがんが条件です。その状態で発見される方の多くは、自覚症状がありません。よって、がん検診が重要となります。早期発見でがんは治ります。がんは日本人の国民病とも言われていますが、2017年のがん死亡数は多い順に、男性①肺がん、②胃がん、③大腸がん、女性①大腸がん、②肺がん、③膵臓がんとなっています。食道がん、胃がん、大腸がんで死ぬのはもったいない。皆さん、がん検診を受けましょう。

認定看護師・技師からのmessage ~伝えたいこと~ Vol.9

今回は内視鏡認定技師からのメッセージです。

内視鏡室で働くスペシャリスト

当院内視鏡室には内視鏡に特化した知識を持つ、日本消化器内視鏡認定技師の資格を有した看護師や、臨床工学技士などのスタッフが従事しています。内視鏡検査を行う際、患者様を中心に、検査や治療を行う医師、患者の状態管理を行う看護師、内視鏡をはじめ周辺機器の管理や検査介助を行う臨床工学技士のチームで対応しています。
当院では患者様1人に対し、多職種の専門スタッフが加入しております。
医師の知識や技術はもちろんですが、看護師の患者様の対応や状態管理、臨床工学技士の機器のメンテナンスや患者様一人ひとりに合った機器や、処置具の選定が不十分では良い検査や治療は受けることが出来ません。
また、使用した内視鏡も私達、臨床工学技士が責任をもって洗浄消毒を行っています。当院の内視鏡は食品の衛生管理と同様の感染管理を徹底しておりますので、安心して検査や治療を受けられてください。患者様が安全に、安心して検査や治療を受けていただくために、そして医師が適切な検査治療を患者さんに提供するために、私たちは日々精進しております。
内視鏡検査や治療を受けられる患者様は、気になることや不安なことがあると思います。いつでもお気軽にご相談ください。

Tell Me Doctor おしえてドクター

胃の検診は「胃カメラ」で受ける時代です。

胃の検診は長らく胃透視が主流でしたが、時代の流れにより、今や多くの健康診断では胃透視か胃カメラかを自分で選択できます。北九州市の住民健診でも、50歳以上は選択できるようになりました(40代は胃透視のみ)。
胃カメラは胃透視よりも病変が見つけやすいという利点があります。胃透視で異常を指摘されがちな方は健康診断の時点から胃カメラを選ぶことで何度も精密検査へ回される煩わしさを回避できる可能性がります。これまで胃透視健診だった方も、可能なら今後は胃カメラ検診をご検討ください。
口から入れるのがつらい方には、当院では眠くなるお薬も使っております(使った場合、当日は車の運転をご遠慮ください)。鼻から入れるタイプの胃カメラは機器の性能や見えやすさに限りがあり、(当院の)健診では使用しておりません。
胃カメラは検査に時間がかかる関係上、1日の予約人数に限りがあります。また健康診断の契約によって自己負担金が発生する場合がります。詳しくは予約時にお尋ねください。
なお妊娠中・授乳中の場合も、胃カメラはお薬を工夫して実施できます(胃透視はお勧めしません。また妊娠中の方はかかりつけ産婦人科医の了承を得てください)。判断に迷う方は当日医師と相談して決めることもできますので、予約時にその旨お伝えください。

戸畑共立病院 健診センター
TEL.093-871-6025(直通)
受付時間/8:30~17:00
ご予約について 午前中は電話が込み合いますので、午後からのご予約をお勧めいたします

リハビリスタッフ オススメ!

人生の最期どう在りたい?
もしバナゲーム

もしバナゲームとは、もしものための難しい話題を考えたり話し合うことが出来るゲームです。家族や友人、大切な人にあなたの願いを伝え、理解してもらうきっかけ作りにもなります。

「あと半年から1年の命と言われたたらあなたは何を大切にしたいですか?」人生の最期にどう在りたいか?誰もが大切なことだとわかっていると思います。しかし、「縁起でもないから・・・」「今はまだそんな時期じゃないから・・・」といった理由で、避けてはいないでしょうか?人生の最終段階は、いつくるのか予測がつきません。元気なうちから話し合うこと(人生会議)が重要です。
戸畑リハビリテーション病院緩和ケア病棟は、もしバナゲームを使用した人生会議についての普及活動を行っています。「実際にもしバナゲームを体験したい」「学校や会社で取り入れてみたい」などありましたらご連絡頂ければ幸いです。

ご相談・お問い合わせは
戸畑リハビリテーション病院

TEL.093-861-1500

旬の簡単レシピ

今回の旬の食材 鰆(さわら)
今回、紹介するのは成長するに従ってサゴシ、サギ、サワラと呼び名が変わっていく出世魚の鰆です。良質なたんぱく質を含む魚として知られ、必須アミノ酸がバランスよく揃っています。鰆の脂質には不飽和脂肪酸の一種である「DHA」や「EPA」も豊富で中性脂肪上昇を抑えてくれます。読んで字のごとく、今が旬の鰆をお楽しみください。

 

材料(1名分)
鰆 1切れ(70g)
塩コショウ 少々
小麦粉 3g(小さじ1杯)
卵 10g
サラダ油 適量
[パン粉の材料] パン粉 10g(大さじ1杯)
パルメザンチーズ 5g
パセリ 適量
[ソース] ケチャップ 10g(小さじ2杯)
ウスターソース 2g(小さじ1/3杯)

作り方
1 鰆の両面に塩こしょうを振り、下味をつける。
2 鰆に小麦粉、卵、混ぜ合わせたパン粉を順につける。
3 フライパンに油を敷き、②を入れ両面に焼き色がつくまで焼く。
4 皿に鰆のチーズパン粉焼きを、盛り付ける。
5 付け合わせに、キャベツやミニトマトなどを盛り付ける。

私のONとOFF

スタッフの仕事とプライベートをみなさまにご紹介します
戸畑リハビリテーション病院 リハビリテーション科 歯科衛生士 坂本 匡子

口の健康が全身の健康

口は、呼吸をする、食事をする、話をするなどで生きていくために必要な働きをしています。口の健康が全身の健康の第一歩であり、「口の健康」の維持・向上に努めることは大切です。歯科衛生士として30年、歯科医療に貢献できるよう、小児や一般歯科、介護予防事業などを学んだ後、「全身状態」にも目を向けNST専門療法士などの認定を取得。口腔健康管理に従事する中で、今後も多くの方の「口から食べること」を支え、「食」という重要な生活機能向上を支える専門家として取り組んで行きたいと思います。

Q.あなたの趣味は何ですか?
A.音楽活動(歌、ギター、リコーダー等)

Q.それはいつから始めましたか?
A.お口の体操をする際、何か音が欲しいと思い5年前に始めました。

Q.趣味にまつわるエピソードは?
A.口の教室を楽しく学んでいただこうとはじめた音楽でしたが、今では音楽の場を通じ、たくさんの方々との時間の共有、喋り、歌うことで自身の意思を表現することが、私の元気の源となっております。

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