社会医療法人 共愛会

広報誌『Tsunagaru』2021年冬号

社会医療法人 共愛会広報誌 Tsunagaru 2021年冬号

表紙(クリックで拡大)

「デイサービス」と「デイケア」を使い分けましょう

デイサービスは、介護保険制度の中の、「通所介護」に位置付けられています。その名の通り、「入浴、食事、レクリエーション、機能訓練」など「介護」を受けることができます。利用者同士のおしゃべりなどを通して、気分転換を図ることもできます。また、リハビリに特化したデイケア(通所リハ)というサービスもあります。共愛会内にも「あやめの里(通所リハ)」、「明治町デイサービスセンター(通所介護)」、「戸畑リハビリテーション病院(通所リハ)」があります。いつでも見学可能なので、担当のケアマネジャーにご相談ください。

病気のはなし

病気の発見や予防につながる
早期発見が難しい
「おなか」のがん
戸畑共立病院の谷脇 智に聞きました

がん化しやすい膵臓のがん

「おなか」のがんには、消化管(胃、小腸、大腸)に加え肝臓、胆道、膵臓のがんが含まれます。今回はこの中で、膵臓のがんについて話をしたいと思います。
膵臓は、胃の後ろにある、長さ20cmほどの左右に細長い臓器です。膵臓で作られた膵液が排出される十二指腸と連続しており、また膵実質には胆管、上腸間膜動脈、門脈が近接して走行しており、まさに脈管の要所と言えます。
膵がんは特徴的な症状に乏しく、健診でも決められた指針が未だありません。そのため早期の発見が難しく、克服が難しい癌の一つとなっています。
その中で、がんとの関与が明らかとなったIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)がクローズアップされています。
IPMNとは膵実質内の膵管内に発生する腫瘍で、ドロッとした粘液を分泌します。粘調度が高い事より、膵管の拡張や膵実質内の嚢胞という形で発見されることが多く、その嚢胞の中に腫瘍が発生したり、嚢胞の大きさに変化はないのに他の部位に突然膵がんが発生したりすることがあります。
また、IPMNは主膵管型と分枝型とに分類されますが、主膵管型はがん化しやすい事より診断され次第、手術治療を勧めております。一方、分枝型の場合は、増大傾向や内部にポリープが発生しない限り経過を観ることが可能ですが、年に2回ほどの診察が必要となります。
診察の際には、腹部エコー検査、造影CT検査、MRI検査、超音波内視鏡検査を組み合わせて診断していきます。
気になる症状がある場合には、早期の受診をお勧めします。急な糖尿病の発症や悪化が見つかるきっかけになることもあります。

さまざまな検査を組み合わせる
膵臓の検査

戸畑共立病院の佐々木 優に聞きました

危険因子が多い方は積極的な検査を

膵臓は長さが15~20cm、厚みが2cmほどであり、腹部の臓器の中でも背中側にあります。膵臓の前には胃、腸などがあり、検査がしにくい臓器です。主な役割は血糖値のコントロールや消化管での吸収を行うホルモンを生産しています。
現在、日本では膵臓癌は、肺癌、大腸癌、胃癌、についで4番目の多い癌であり、がんと診断されてからの生存率が、胆嚢、胆管癌とならんで最も悪い臓器の一つとなっています。そのため膵臓癌の有効な治療を行うためには早期に発見する事が必要です。大きさが10mmまでの膵臓癌であれば治療後、長期生存が期待できると言われています。
膵臓がんは特有の症状が少なく、腹痛や背部痛、おなかの張った感覚、体重減少、黄疸などで発症します。膵臓癌の危険因子としては、家族歴(親、兄弟、子に膵臓癌の方がいる)、遺伝性膵臓症候群(癌になりやすい遺伝的な病気)、遺伝性膵炎、糖尿病、慢性膵炎、膵管内乳頭粘液性腫瘍、膵嚢胞、喫煙、大量飲酒等があります。
これらの症状や家族歴、新たに糖尿病が発症、糖尿病の急な悪化、慢性膵炎、膵嚢胞のある方は積極的に膵の精査、定期的な経過観察が必要です。
膵癌の検査としては血液検査で膵酵素、腫瘍マーカーの確認、腹部超音波検査を行います。さらに膵癌の精密検査としては造影CT、MRI、超音波内視鏡検査、内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査、超音波内視鏡下穿刺吸引生検等を症例にあわせて追加して行います。
膵臓癌の早期発見を目的とし、小さな膵癌を検出する有効な検査がMRIによる胆管膵管撮影(MTCP)と超音波内視鏡検査です。MRCPは造影剤を使用せず比較的安全に行える画像検査です。また、超音波内視鏡検査は、通常の内視鏡の先端に超音波の機械をつけ、膵臓に最も近い胃、十二指腸から超音波検査を行います。患者さんの体への負担は通常の上部消化管内視鏡検査とほぼ同じです。この検査を組み合わせて小さい膵癌の検出を行います。
前述した症状や危険因子をお持ちの方は、一度膵臓の積極的な検査を行ってみてはいかがでしょうか。

認定看護師・技師からのmessage ~伝えたいこと~ Vol.11

今回は手術室専任臨床工学技士からのメッセージです

正確でクリアな映像を提供

私たち臨床工学技士は、医療機器の管理・メンテナンス等を行っています。内視鏡手術の利点は多く述べられています。内視鏡手術を行うためには、カメラの存在が不可欠であり、カメラの映像が正確にモニタに届くことで初めて手術を行うことが可能となります。
正確でクリアな映像を提供するために術前・術後点検による故障の早期発見、術前のカメラ装置配線時の映像確認を行い、手術中にトラブルが発生しないよう準備を徹底しています。カメラは、アナログ、デジタル、3Dと性能が進歩しましたが、配線の検討や互換性を考慮し、トラブルが発生しないようコードの色分けなどの対応を行っています。特殊な手術を行う際は、ミーティングに立ち会い医師、看護師と連携し、手術に適したカメラと映像配線や医療機器の提案を行っています。内視鏡手術で使用する機器を管理するのも、手術室での役割となっています。
また当院は、複数のエネルギーデバイスを有しており、各エネルギーデバイスの長所、短所を理解し、手術に適した物を提供しています。その中でも、電気メスは、既存の設定に加え、手術や医師に合わせた設定を行うことが可能となっています。
日々進化する医用機器に対応し、安全を担保していくことが、私たちの務めです。

戸畑リハビリテーション病院 令和2年11月 新棟完成!!

更なる医療連携強化へ

戸畑リハビリテーション病院は、2003年にリハビリテーションの専門病院として開設した後、緩和ケア病棟、地域包括ケア病棟を加え、地域包括ケアシステムの一員として回復期・慢性期医療に力を注いできました。
今回、2020年3月に病床再編によって減少した回復期リハ病棟を増床するに当たり、新棟建設(2階建て)を2月に着工し10月に完成、11月より運用を開始いたしました。新棟1階は規模に応じた研修会や会議、面談等に使用できる大小3つのセミナールームを用意し、その一角には職員がゆっくり食事や休憩が取れるコミュニケーションラウンジと名付けた飲食コーナーを設けました
新棟2階は2階既存棟と合わせて48床から60床の1病棟の回復期リハ病棟として運用を開始いたしました(2021年5月には2病棟に分離予定です)。回復期リハ病床は、整形外科疾患や脳血管疾患の急性期を脱した患者様が機能回復や日常生活動作の改善を図るためのリハビリに特化した病床です。新棟は既存棟の北側にあり、2階の大テラスを挟んでいるため、日が当たり非常に明るく開放感があるのではないかと思います。ハード面では職員の意見を取入れ、特にトイレの数と位置にはこだわり、トイレは病室内ではなく廊下側に設けました。病室から出ることで家庭と同じ環境となるプライバシーの配慮等です。トイレに限らず、看護師や介護士、リハビリスタッフの様々な意見を取入れ、患者様にとってどのような環境が社会復帰に繋がるかを考えて設計し、新しい病棟が出来上がりました。
これからも地域の方々が”住み慣れた地域でその人らしく過ごすことができるように”、”誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現に向けて”、戸畑リハビリテーション病院に求められる役割を更に強化していきたいと考えております。

健康寿命について伺いました

姉妹の患者様へインタビュー!
[聞き手]広報事務 森本 緑

戸畑共立病院とのお付き合いが始まった頃の話
菅野 戸畑出身の夫が当時の院長 下河邉舜一先生と親交があり、昔からお世話になっていました。晩年、「戸畑に帰りたい」と切望した夫は、あやめの里で心穏やかに最期を過ごすことができ、妻としても悔いのない形で見送れました。
とかく言う私は、現在の宗像に越した今でも、下河辺智久先生に診ていただいております。診察時は、身体のことはもちろん、共通の趣味であるガーデニングの話で盛り上がり、ときにはアドバイスをすることも。先生もさぞかし、お上手になられたと思います(笑)。今では姉妹で受診しています。

元気に過ごす健康の秘訣は?
久保 姉が五女で私は末っ子の八女ですが、姉は姉妹の中でもとりわけ身体が弱く、子どもの頃、よく風邪を引いて学校を休んでいました。
心配した父が”鰻の湯煎”(肝油の類)を作って飲ませたり、メリケン粉とミミズを練って湿布したりと世話を焼いていましたね。
菅野 鰻の湯煎はとにかく匂いが凄かったですね。小さい頃、母から「乾布摩擦」を教わりました。遺言だと思って今でも朝晩欠かさずやっています。女学校に入る頃、空気が良いからと親戚のいる唐津で潮風と学徒勤労動員で身体が強くなり、現在に至っています。
よく食べる好きな食べ物は?
久保 私はお茶を教えておりまして、朝は抹茶を飲むようにしています。
菅野 私も抹茶を飲みます。敷居が高いと思われがちですが、ペットボトルにお湯と抹茶を入れて振ると手軽に楽しむことができます。今日も携帯していますよ。鰻の蒲焼も好物です(笑)。

いま楽しみにしていることは?
菅野 ガーデニングが趣味で、草取りなど庭の手入れを日課にしています。
久保 小倉西高校 茶華道部の皆さんを指導しています。若者の成長は楽しみです。

元気に長生きしたい方に向けて
久保 平々凡々と一日を大切に生きることに尽きますね。自分なりの楽しみを持ち、自分なりに過ごすことですよ。
菅野 「また明日があるさ」と、くよくよしないことです。人間らしく、嬉しいときは笑い、悲しいときは泣きましょう。山歩きでも園芸でも何でもよいから、年をとっても夢を持つことが大事ですね。まだ人生があると想い、自分で切り開きましょう。

旬の簡単レシピ

今回の旬の食材 柚子
柚子の皮は栄養価が高く、抗酸化作用のあるビタミンCを多く含みます。喉の粘膜を守るビタミンAも豊富で風邪予防が期待されます。また、リモネンという香り成分には血流促進、免疫力の向上、リラックス効果など様々な効果があります。冷凍保存すると風味を保つことができるので、いつもの料理に少し加えて香りや酸味を楽しんでみてください。

材料(5名分)
鶏肉 300g
木綿豆腐 1丁
白菜 1/4個
春菊 3~5株
長葱(白い部分) 2本
人参 1/2本
えのき 1/2パック
出汁 750cc
料理酒 5g
みりん 10g
鶏がらスープの素 10g
濃口醤油 20g
柚子(皮) 適量

作り方
① 柚子は皮の黄色い部分を削いで、千切りにする。※柚子の酸味も楽しみたい場合は薄く輪切りにしても良い。
② 鶏肉と豆腐一口大、白菜・春菊・えのきは4cm幅、白葱は5mm幅の斜め切りにカットする。
③ 鍋に出汁、鶏がらスープの素、調味料を入れ、煮立ってきたら鶏肉を加える。鶏肉に火が通たら他の具材を入れ、火が通るまで煮る。(灰汁が出たら取り除く)
④ 最後に柚子を入れ、さっと煮て香りが出たら完成。

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